
イサム・ノグチの名作AKARI ... 世界でも高い評価を受けている彫刻家、イサム・ノグチ氏の手による光のオブジェ。現代の芸術的感性と日本の伝統を見事に融合させた照明デザインの最高傑作として世界中で愛されています。

ノグチは人工的な光、すなわち空中に浮かぶ発光物の彫刻についてあたらしい解釈を作り上げました。日系米国人のノグチは岐阜県を訪れ長良川の鵜飼で見た釣船のうえで燃える提灯に触発され、AKARI(あかり)をデザインしました。これは1940年代のニューヨーク時代に展開していた照明彫刻のコンセプトを拡張させ、日本特有の美しさと現代美術・デザインの原理の融合を目指して抽象的なカタチを作り上げました。

Isamu Noguchi(イサム・ノグチ)「AKARI」1A

Isamu Noguchi(イサム・ノグチ)「AKARI」1N



イサムは、この提灯をベースにしたAKARIを愛し晩年まで新作を作り続けます。その種類は、200以上といわれています。あらゆる意味で石などの彫刻と対極に位置する作品です。当時、ハリウッドでも活躍していた女優山口淑子と結婚し、新居は北鎌倉の北大路魯山人の住まいの一角。魯山人の窯を借り作品を製作するという日本風生活を送っていました。57年の離婚までがイサムの生涯唯一の結婚生活でした。 AKARIでは、自然光に近いやわらかい光源を求めて、手漉きの和紙にこだわりました。やさしさに溢れているのは、日本での幸せな結婚生活が重なっているからでは、ないでしょうか。

Isamu Noguchiイサム・ノグチ1904年ロサンゼルス生まれ。コロンビア大学に入学し、医師を志すかたわらレオナルド・ダ・ビンチ美術学校で彫刻を学ぶ。奨学金を授与されると、パリへ渡り留学生活を送る。その後、北京、日本と渡る。1947年にハーマンミラーのデザインディレクターであったジョージ・ネルソンに請われ「ノグチ コーヒーテーブル」を発表。世界を代表する偉大な日系アメリカ人彫刻家。2004年に生誕100周年を迎え、これを期にヴィトラ・デザイン・ミュージアムが販売権利を獲得。魅力的な作品が続々と復刻され話題となっている。イサム・ノグチのこのAKARIは、日本固有の美しい工芸品を見事に現代に蘇生させたとして、たちまち世界中から注目され、日本グッドデザイン賞の受賞やニューヨーク近代美術館に収蔵されたのをはじめ、各国の家庭や店舗で広く愛用されています。